婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

 彼女も興味はあるみたいだが、独特の匂いに、食べる勇気は出なかったようだ。
(まぁ、普通は食べ慣れたものが一番だから)
 高級宿の美味しい料理よりも、クロエの料理を好むエーリヒが変わっているのかもしれない。
 海鮮料理を堪能したあとは、食後のお茶を飲みながら、リーノにジーナリス王国のことを教えてもらう。
「今のジーナリス王国には、魔女が十人いるの。一番年上は、私の祖母よ」
 魔女の力は家系に受け継がれることが多いが、全員が親戚というわけではないと言う。
「他国にもたまに、魔女のような力を持つ者が生まれることがある。でも、ほとんどはそれっぽいだけ。あなたは国外でひさしぶりに生まれた、本物の魔女ね」
 他国で魔女が生まれることが稀なので、魔女として認められる条件もまた、他国に伝わっていなかったのだろうと、リーノは言った。
「魔女として生まれたら、五歳になるまで、魔法の使えない部屋で暮らすの。子どものうちは、無意識に力を使ったりして、大変なことになるから」
 だから自分で制御できるようになるまで、魔女の力を封じていたクロエの話を聞いて、リーノは驚いたようだ。
「何も知らなくても、ちゃんと自分でそう考えて実行した。すごいことだと思うわ」
 そう褒められて、少し照れてしまう。
(でも、アダナーニ王国にある魔法の使えない塔は、きっとその部屋と同じ造りになっているのね)
 王女は今、どうしているだろう。
 きっとまだ、エーリヒを自分のものだと思っているかもしれない。そう思うと、少し嫌な気持ちになる。
 それからも、他の魔女の話や、他の国を巡ったときの話などを聞かせてもらう。