婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

 エーリヒに緊急の指名依頼が入り、それを果たすために、その町に行くことになったのだ。
 それを聞いたリーノは、まだ聞きたいことも、教えたいこともあるからと、同行を申し出てくれた。エーリヒもそれを承知してくれたので、三人で次の町に移動することになった。
 リーノを、お姉ちゃんと呼んで慕っていた子どもたちは寂しがった。だが、彼女が旅の途中だということは理解していたようで、笑顔で見送ってくれた。
 隣町に戻って、そこで馬車を借りる予定だ。
 借りたらすぐに出発しようと思っていたが、エーリヒにギルドから呼び出しがあり、戻ってきたのは昼過ぎだった。
 だから今日はこの町で一泊し、明日の朝に向かうことにした。
 色々とふたりで話したいこともあるだろうからと、エーリヒは別の部屋に行き、クロエとリーノが一緒に眠ることになった。
「ごめんなさい、せっかくふたりきりだったのに」
 そう謝罪するリーノに、クロエは慌てて首を横に振る。
「いえ、全然」
 マードレット公爵家の屋敷にいたときは、部屋は近くてもさすがに一緒に寝ることはできなかったから、別々に寝るのは初めてではない。
 それに、エーリヒは他人が一緒だと眠れないだろう。
 クロエもまだリーノに聞きたいことがたくさんあったので、これでいい。
「それにしても貴族専用宿って、こんなに広くて豪華なのね」
 リーノは物珍しそうに周囲を見て回っている。
 部屋に二人分運ばれてきた昼食も、さすがに美味しかった。
「自分でも、矛盾しているかなって思います」
 昼食を食べ終わったあと、クロエはリーノに悩みを打ち明けた。