婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

「私としては、あの婚約破棄があったから、父からも婚約者からも逃げ出せました。エーリヒも助けることができて、よかったと思います」
「……そうね。結果だけ見れば、そうかもしれないわね」
「はい。それから髪色を変える魔法を使って、王都で暮らし始めたのですが、欲しいな、と少し思ったものが目の前に現れたり、物を異空間に収納したり……」
「異空間に? それって、どんな魔法なの?」
 クロエはアイテムボックスについて説明した。
 これはクロエが転生者だから思いついた魔法らしく、リーノはその便利さに感動していた。
「私も使ってみてもいい?」
「ええ、もちろん」
「ありがとう。これで旅が楽になるわ」
 ただ、アイテムボックスに入れておいたものは劣化しない、というのは説明が難しくて、リーノの場合は、ただアイテムを収納するだけになりそうだ。
 クロエは、アイテムボックスがそういうものだと信じているので、それが可能らしい。
「異空間に収納できるだけでも、充分に便利よ」
 リーノはそう言って喜んでくれたので、クロエもほっとした。
「それから、魔導師のギルド員に攻撃されたエーリヒに治癒魔法を使って、右腕を無敵状態にしてしまったことも……」
「え、待って。ギルド員が攻撃?」
「はい。ええと、そのギルド員はその後、人に攻撃魔法を使ってしまってギルド員を辞めさせられて。最終的にアダナーニ王国の城門を突破して逃げて、特別依頼の指名手配犯になって」
「それは、最悪ね」
「そして私たちが、その依頼を果たしました」
 サージェは、本当に危険な存在だった。
 思い込みが激しくて、他人を攻撃することを躊躇わない。