そんなものがあるのだろうか。
クロエは考え込む。
食べることや料理は好きだが、ただの趣味である。
エーリヒを助けたい。ともに生きたいと思うのも、クロエ個人の願望だ。
「使命については、魔女同士で話し合ったり、アドバイスをもらったりするのよ。だから私も、あなたの手助けになりたいわ」
悩んでいる様子を見て、リーノはそう言ってくれる。
「……ありがとうございます」
エーリヒも、彼女の中身が成人女性で魔女であることを認めてくれたようで、ほとんど口を挟まずに、静観してくれていた。
魔女について、色々と学んでみたいと思っていた。
それがまさか、ジーナシス王国出身の本物の魔女に出会えると思わなかった。
ここで出会えたのは、本当に幸運だった。
リーノは優しく、クロエを導いてくれる。
「まず私が気になったことを聞くわね。変装が必要だったのかもしれないけれど、どうして黒髪にしたの? もとの生まれは?」
「生まれは、この国の侯爵家です。ただ、色々とあって家に居たくなくて、エーリヒと一緒に逃亡しました。この髪は、そのときに。色は……」
エーリヒに、移民だと勘違いされるかもしれないから、よくある茶色にしたほうがいいと言われた。でも、前世で馴染みのある色だということもあり、クロエは黒髪にしたかった。
あの頃はまだ前世を思い出したばかりで、どちらが本当の自分なのかわからず、不安定な時期だったと思う。
だからこそ、黒髪に拘ったのかもしれない。
「不利だとわかっていたけれど、どうしてもこの色にしたくて」
「その衝動が、使命絡みだと思う」
リーノはそう言うと、にこりと笑った。
クロエは考え込む。
食べることや料理は好きだが、ただの趣味である。
エーリヒを助けたい。ともに生きたいと思うのも、クロエ個人の願望だ。
「使命については、魔女同士で話し合ったり、アドバイスをもらったりするのよ。だから私も、あなたの手助けになりたいわ」
悩んでいる様子を見て、リーノはそう言ってくれる。
「……ありがとうございます」
エーリヒも、彼女の中身が成人女性で魔女であることを認めてくれたようで、ほとんど口を挟まずに、静観してくれていた。
魔女について、色々と学んでみたいと思っていた。
それがまさか、ジーナシス王国出身の本物の魔女に出会えると思わなかった。
ここで出会えたのは、本当に幸運だった。
リーノは優しく、クロエを導いてくれる。
「まず私が気になったことを聞くわね。変装が必要だったのかもしれないけれど、どうして黒髪にしたの? もとの生まれは?」
「生まれは、この国の侯爵家です。ただ、色々とあって家に居たくなくて、エーリヒと一緒に逃亡しました。この髪は、そのときに。色は……」
エーリヒに、移民だと勘違いされるかもしれないから、よくある茶色にしたほうがいいと言われた。でも、前世で馴染みのある色だということもあり、クロエは黒髪にしたかった。
あの頃はまだ前世を思い出したばかりで、どちらが本当の自分なのかわからず、不安定な時期だったと思う。
だからこそ、黒髪に拘ったのかもしれない。
「不利だとわかっていたけれど、どうしてもこの色にしたくて」
「その衝動が、使命絡みだと思う」
リーノはそう言うと、にこりと笑った。


