婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

 会えばきっと、彼女が本物の魔女であることが、エーリヒにもわかるはずだ。
「戻ってきたら紹介するって約束したの」
 そう言うと、すぐに承知してくれた。
「わかった。実際に会ってみないと、どんな人なのかわからないからな」
 クロエはエーリヒを連れて、リーノが休んでいる部屋に向かうことにした。
「リーノさん? エーリヒが戻ってきたわ」
 扉を叩いてそう言うと、リーノが答える声がした。
「連れてきてくれたのね。ありがとう。どうぞ入って」
 声は可愛らしいが、落ち着いた大人の話し方に、やはりエーリヒも困惑している様子だった。
 ベッドの上に体を起こした恰好のリーノは、エーリヒを見ると驚いたように目を細める。
「すごく綺麗な人ね。クロエさんの、恋人?」
「……婚約者、です」
 リーノの瞳にあったのは純粋な感心だけで、エーリヒに対して見惚れるような様子もなかったから、安心して紹介することができた。
「婚約者なのね。先ほどは、助けていただいてありがとうございました」
 きちんと頭を下げるリーノに、エーリヒは首を横に振る。
「あなたを助けたのは、クロエだ」
「ええ、彼女にはとても感謝しているわ。だから、私にわかることなら何でも教えようと思っているの。本当は、魔女のことは魔女だけで話さなくてはいけないけれど、彼がいた方が安心でしょう?」
 そう問われて、クロエはすぐに頷く。
「はい。それでもかまいませんか?」
 もし駄目だと言われたら、聞きたいことはたくさんあったが、諦めるつもりだった。
 けれどリーノは、あっさりと頷く。