婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

 今までは集落の人たちが交代で面倒を見ていたようだが、病気が移ってしまう人もいたようだ。
 病気は、魔法で癒やせない。
 ここは病気とは無縁なクロエが、看病をした方が良いだろう。
 クロエが病人たちの面倒を見ている間に、エーリヒが食事を作ってくれた。それを、食欲がありそうな人には、食べてもらう。
 それが終わったあと、ここに案内してくれた女性に、話を聞いた。
「私たちは、移民のように見えると思いますが、ほとんどの住民は、この国で生まれた人たちです」
「そうなんですね」
 何代か前の先祖がこの国に移住して、そのまま住み着いたようだ。
「私たちの先祖に、悪い人がいたんです」
 この先の町で立ち入りを禁止されたことを話すと、その女性はそう言って肩を落とす。
 彼女たちの先祖が、この国に移住したばかりの頃。
 この集落には、移民というだけで職に就けず、この国を恨むようになった人たちがいた。彼らは恨みを募らせて、そのうちこの街道を通る人たちを襲う盗賊になってしまったという。
 もちろん集落の一部の人たちで、盗賊になった人たちも全員捕まり、罪を償っている。
 でも町の人たちの集落に対する偏見は、今も残っているらしい。
「あなたたちにも、ご迷惑をおかけいたしました」
 集落の女性は、そう言って謝罪した。
「いえ、そんな」
 クロエは、慌てて首を横に振る。
「私たちが連れてきたあの女の子の両親は、ここにはいらっしゃいませんか?」
「ええ。あの子がどこから来ていたのか、私たちにもわからなくて。でも子どもたちは、お姉ちゃんと呼んでよく懐いていました」
「……お姉ちゃん?」