婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

「そうか」
 悔しくて何も言えないクロエの代わりに、エーリヒが答える。
「町に入れないのならば、仕方がない。この町から依頼された魔物退治は、引き受けられないと伝えておいてくれ」
「魔物退治?」
 警備兵は唖然としたあと、やや焦りだした。
「もしかして指名依頼の? それは困る。あの魔物の被害者が、たくさんいるんだ」
「クロエ、戻ろう」
「……うん」
 エーリヒは警備兵を無視して、クロエを促して歩き出した。
 警備兵は何か喚いていたが、さすがにクロエも擁護する気にはなれない。
 他人は見捨てるのに、自分たちは助けてほしいなんて、自分勝手すぎるだろう。
 少女を見つけた花畑まで戻り、そこにあったベンチに、ローブで包んだままの少女をそっと横たえてもらう。
「周辺を見回ってくる」
「うん、お願い」
 もしかしたら、周辺に少女の親がいるかもしれないし、他にも倒れている人がいる可能性もある。
「少し大きいけど、着替えた方が良いよね」
 汗を拭いてあげて、クロエの服を着せる。
「薬を買い込んでいて、よかったわ」
 クロエはアイテムボックスの中から、熱冷ましの薬を取り出す。
 町を出発したときに色々と買い込んだものが、こんなにすぐに役立つとは思わなかった。
 そうしていると、少女が目を覚ました。
「お水……」
 喉が渇いたらしい少女に、ゆっくりと水を飲ませてあげる。
「食欲はある?」
 弱々しく首を横に振る彼女に、薬だけを飲ませて、温かくして寝かせてあげた。
 すると、周辺を見回っていたエーリヒが戻ってきた。