婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

 クロエは魔法によって病気にならないが、エーリヒのために色々と用意しておくことにしている。
 病気は、魔法では治せないからだ。
 この町には移民も多く、クロエがひとりで出歩いてもそれほど目立たない。それなのにエーリヒは、クロエがどこに行っても離れずに、ずっと傍にいてくれる。
 町を歩いていて少し気になったのは、クロエたちが魔物退治をした方の道は人で賑わっているのに、隣町に続く道には、あまり人がいないことだ。
 屋台でそれとなく理由を聞いてみると、隣町はあまり他の町とは交流しないそうだ。
 とても閉鎖的な町らしい。
 何となくそれを聞いていたクロエは、ギルドから戻ってきたエーリヒに、次の指名依頼が隣町からだと聞いて、驚いた。
「あそこの屋台で、向こうの町は閉鎖的だって聞いたけど……」
「それでも魔物が出れば、依頼せざるを得ないのだろう。歓迎はされないかもしれないから、依頼を受けるかどうかは向こうで決めたほうがいい、と言われた」
 依頼を斡旋するギルドがそんなことを言うくらい、向こうの態度は酷いものなのだろうか。
 その隣町までの移動手段について、少し迷った。
 どうやら、歩いても半日もかからない場所にあるらしい。
 貴族ならどんなに近くても馬車移動だろうが、荷物もすべてアイテムボックスに入っているので、手ぶらで歩いて行くことも可能だ。
 道もしっかりと整備されている。
 そして途中に大きな池があり、遊歩道のようになっているらしい。
「近いみたいだし、歩いていく?」
 そう提案すると、エーリヒも同意してくれた。