父の怒りがクロエのためではないことは、今までの扱いから考えてもよくわかっていた。
「いくら王子殿下とはいえ、そんな状態でクロエに求婚してきたのか」
エーリヒが嫌悪を隠そうともせずにそう言うと、アリーシャも同意するように深く頷いた。
「ええ。義理とはいえ、もう私の妹なのよ。婚約者を大切にしなかったキリフ殿下などに渡すはずがない。そもそも婚約者がいると発表しているのに、それでも求婚してくるような人たちは論外だと、お父様が手紙をすべて突き返していたわ」
手紙すら取りつがないと、きっぱりとした対応してくれたようだ。
それによって周囲にも、クロエが利用するために引き入れた移民の女性ではなく、家族として迎え入れた養女なのだということが伝わるだろう。
アリーシャはそう言ってくれた。
そんな彼女も、クロエのことを自分の妹だと言ってくれた。
クロエの作る魔石が必要だからこそ、そう言ってくれたのかもしれない。それでも誠意を示してくれた以上、クロエも期待に応えたいと思う。
「クロエのことはそれでいいとして、問題はエーリヒよね」
「……そうですね」
深刻そうなアリーシャの言葉に、クロエも深く頷いた。
クロエは移民出身だと思われてしまっても、マードレット公爵の養女という身分が守ってくれる。
けれどエーリヒは、貴族の庶子でしかなく、今となっては近衛騎士という身分も捨ててしまった。
だから今は、マードレット公爵家の令嬢となったクロエの婚約者でしかない。
「やっぱり、どこかの貴族の養子に入った方が……」
「いくら王子殿下とはいえ、そんな状態でクロエに求婚してきたのか」
エーリヒが嫌悪を隠そうともせずにそう言うと、アリーシャも同意するように深く頷いた。
「ええ。義理とはいえ、もう私の妹なのよ。婚約者を大切にしなかったキリフ殿下などに渡すはずがない。そもそも婚約者がいると発表しているのに、それでも求婚してくるような人たちは論外だと、お父様が手紙をすべて突き返していたわ」
手紙すら取りつがないと、きっぱりとした対応してくれたようだ。
それによって周囲にも、クロエが利用するために引き入れた移民の女性ではなく、家族として迎え入れた養女なのだということが伝わるだろう。
アリーシャはそう言ってくれた。
そんな彼女も、クロエのことを自分の妹だと言ってくれた。
クロエの作る魔石が必要だからこそ、そう言ってくれたのかもしれない。それでも誠意を示してくれた以上、クロエも期待に応えたいと思う。
「クロエのことはそれでいいとして、問題はエーリヒよね」
「……そうですね」
深刻そうなアリーシャの言葉に、クロエも深く頷いた。
クロエは移民出身だと思われてしまっても、マードレット公爵の養女という身分が守ってくれる。
けれどエーリヒは、貴族の庶子でしかなく、今となっては近衛騎士という身分も捨ててしまった。
だから今は、マードレット公爵家の令嬢となったクロエの婚約者でしかない。
「やっぱり、どこかの貴族の養子に入った方が……」


