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「「白団優勝おめでとー! かんぱーい!」」
クラスメイトの音頭に合わせて、部屋のあちこちでグラスがぶつかった。
カラオケの個室は想像以上にぎゅうぎゅうで、笑い声と音楽が混ざって少しうるさい。
マイクを握る人、スマホで写真を撮る人、もう次の曲を入れてる人。
体育祭のあとのテンションそのままみんな浮かれている。
その輪の中で、私は奥のソファに腰掛けていた。
そして、気づけば…
右には律、左には蓮。
二人に挟まれる形になっていて、ただでさえ狭いソファがさらに窮屈に感じた。
しかもなぜか二人とも微妙に距離が近い気がして、余計に落ち着かない。
「はい」
右隣から、律がコップを差し出してくる。
反射で受け取って中を覗くと、淡いピンク色。
…たぶん、いちごミルク。
「ありがとう」
受け取って一口飲むと、甘さに肩の力が抜ける。
その様子を見て、律がくすっと笑った。
「ほんと好きだね」
からかうみたいな口調だけど、どこか満足そうで。
「……だって美味しいし」
いちごミルクは正義だから。毎日だって飲みたい。
というか、飲んでる。
「…あ」
今度は左側から、何かに気づいたような蓮の声。
「最近ウチの冷蔵庫に入ってるいちごミルクって、彩葉のだったんだ」
……。
……勝手に冷蔵庫にストックしてるの、バレてたんだ。
律が一瞬だけ目を細めて、私と蓮を見比べる。
というか、律って私が住み込みで護衛してること知ってるのかな?
Aegisからの派遣なら知っててもおかしくないけど…。
「俺も飲みたい」
不意に、蓮がそう言った。
視線が私の手元のコップに落ちている。
俺も、って……あ、いちごミルク?

