「彩葉」
一瞬、時間が止まったみたいだった。
蓮の目がゆっくりと見開かれて、そっと腕を伸ばしてくる。
指先が、私の顎の少し手前で止まる。
一瞬の迷い。
それから、意を決めたみたいに親指が触れた。
ぎこちない力で、顎が持ち上げられる。
へ……?
視線が、真正面からぶつかった。
「…じゃあ、彩葉がそう言うなら…もう遠慮しねぇけど。いい?」
…え?
さっきまでの蓮とは、違う視線。
「昨日のは全部、本音。」
逃げ道を塞ぐみたいに、視線を逸らさせないままで。
「俺のことだけ見てりゃいいのにって、思ってる」
え、な、待って。
「覚悟しとけよ。…俺、絶対お前を落とすから」
理解する前に、熱が一気に顔に集まった。
——これ、完全に。
……私、選択間違えた………?!

