このどこか重い空気を裂くように、スピーカーから陽気なアナウンスが響き渡る。
「白団、一位でゴールです!!今年は強いですね〜〜!!!」
あ、律、一位取ったんだ。
グラウンドの方を見ると、律がクラスメイトに囲まれて満面の笑みで肩を叩かれている。
生徒達が戻ってくる前にと神楽組の人たちもちらほらと退散していく。
今ここで蓮と2人きりになりたくなくて、私もその波に乗ってテントから逃げるように出た。
足首が少し痛むのも気にならないくらい。
頭の中は、絢斗さんの言葉でいっぱいだった。
——覚えてる。
——全部。
……だったら、なんで。
そこまで考えたところで。
「待て、彩葉」
背後から腕を掴まれた。
びくっと肩が跳ねる。
反射的に振りほどこうとして——でも、思ったより強く掴まれていて、足が止まる。
「…何?」
振り向かずに、視線を落としたまま答える。
「あ……」
蓮は何か言おうとして、口をつぐんだ。
掴まれた腕に、わずかに力がこもる。
“蓮に直接聞いてみな?”
絢斗さんの言葉を思い出す。
「……蓮」
呼びかけると、低く短い返事が返ってくる。
「……何、彩葉」
その声色だけで、少し身構えているのがわかる。
私は一度ゆっくり息を吸ってから、意を決して続ける。

