そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~





「は……ちょっと、こんな大勢で来たら目立つだろ!」


蓮はさっきまで私に触れていた手をすぐに離して、焦ったように声を荒げた。


幸い、次の競技が始まったばかりで観客席もテント周りも人は少ない。

みんなグラウンドの方へ視線を向けていて、こちらに気づく様子はなかった。


とはいえ、この人数は十分すぎるくらいに目立ってしまう。


「すまんすまん。でも若、さっきのリレーカッコ良すぎましたぜ」

「あれは激アツだったな」


そんな空気なんてお構いなしに、神楽組の人たちは笑いながら蓮を囲む。

肩を叩かれて、背中を叩かれて。

さっきまで私の前にいた“同級生の蓮”は、あっという間に“神楽組の蓮”に戻ってしまった。


……ちょっと、助かったかも。


蓮を横目で見ながら、ほっと胸を撫で下ろしていると、


「彩葉ちゃん昨日ごめんね」


突然、肩に手が置かれた。

驚いて振り向くと、絢斗さんが立っていた。


唐突なその一言に、思わず瞬きをする。



「酔った状態の蓮と2人きりにしちゃったこと」


あ、あぁ〜それか。


「……お酒で記憶なくなるなんて、タチ悪すぎじゃないですか?」


半分は冗談みたいに言ったけど、絢斗さんは、私の言葉を聞いて一瞬だけ目を瞬かせた。

きょとんとした顔をして、一言。