そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~

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テントに戻ると、すぐに律が次の競技に呼ばれた。


「律!次の競技行くぞー!」

「はいはい」


律は軽く手を上げて返事をしてから、こちらを振り返る。


「無理しないでね」

「うん。ありがと」


それだけ言って、律は走っていった。

いつもみたいに軽い背中なのになぜか目で追ってしまう。


……変なの。

少しして、今度は別の気配がテントに戻ってきた。


「彩葉」


呼ばれた声に、心臓が一拍遅れて跳ねる。

振り向くと、そこに立っていたのは蓮だった。


私の顔を見るより先に、蓮の視線は真っ先に足元へ落ちる。


「足、平気か?」

「うん。捻っただけ。」


そう答えると、蓮は「……そうか」と短く呟いて、小さく息を吐いた。

それからほんの一拍。

間を置いて、ゆっくりと言う。


「さっきはありがとう」

「……」

「庇わせてごめん」


蓮の声は真剣だった。

……なのに。

なぜか、目を合わせられなかった。

視線を落としたまま言葉も返せずにいると、蓮が小さく首を傾げる気配がする。


「……?」


でも、すぐに気づかれて。


一歩、距離が縮まる。