そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~





律の言葉は、どこからが冗談で、どこからが本気なのか。
境界線が見えなくて、いつも困る。


保健室に入ると、ベットの端に下ろしてくれた。


「足見せて」

「え、それぐらい自分でやるよ」

「ダメ」


有無を言わせない調子で、律は私の足元にしゃがみ込んだ。

指先が、くるぶしの少し下に触れる。

その瞬間、ぴりっとした痛みが走って、思わず肩が跳ねた。


「……っ」

「動かない」


叱るほど強くはないのに、反射的に身体が従ってしまう。

律は私の反応を見て、ほんの一瞬だけ眉を寄せた。

それから慎重に靴を脱がせ、靴下をずらす。


「少し腫れてる、典型的な捻挫だね」


冷却材、タオル、包帯。
律は迷いのない動きで準備して、タオル越しに冷やされる。


……この手際の良さ。

Aegisにいた時から、変わってない。


任務中に誰かが怪我をした時、必要なものを一瞬で判断して、黙々と処置していた姿が脳裏をよぎる。


しばらく冷やしたあと律は包帯を取り出して、包帯が足首を固定していく。

その感覚と一緒に律の手が触れるたび、心臓が変な跳ね方をする。


「はい、応急処置完了」

「ありがとう」


律は「どういたしまして」とでも言うみたいに、軽く肩をすくめて立ち上がった。