そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~



「集会行ってからの記憶がねぇ…」


そう言って頭を抱える蓮。


「──っ」


一瞬、息が詰まった。

……そっか

覚えてないんだ。


意識しちゃってるのは、私だけ…?


でも、その方が都合がいいのかもしれない。


あんな感情を真正面から向けられたら…
護衛としてそばにいる理由が、揺らいでしまう。

私は、ただの護衛。
それ以上でも、それ以下でもない。


……でも。

だからって。

なんかムカつくな。


つまり、酒飲んだら記憶なくなるタイプってことでしょ?

言うだけ言って、あんなことしておいて、平然としてるの。

ずるい。



「……蓮さんは、もうお酒飲まない方がいいです!」



できるだけ平静を装ったつもりだったのに、声が少しだけ上ずった。

蓮はきょとんとした顔で首をかしげて、私の方を覗き込んでくる。


「…え、悪い、なんか怒ってる?」

「怒ってますよ!!これに懲りて反省してください」


ふん、とわざとらしくそっぽを向く。

いつもなら、敬語とさん付けは解雇!って言ってくるけど今日は言ってこない。

今日は、私の方が一枚上手かな?


「ということで、私は部屋に戻って寝ます!おやすみ!」


一気に言い切って、逃げるように背を向けた。


心臓はまだうるさいくらいに鳴っている。

それを誤魔化すみたいに足を進めながら、私は小さく息を吐いた。

……ほんと。

覚えてないなんて、一番タチ悪いじゃん。