「……最悪」
普段なら絶対やらない。
全部酒のせい。
…酔ったくらいで、どんだけ本音漏らしてんだよ俺……。
子どもみたいに拗ねて、独占欲丸出しで、余裕もなくて。
あんな姿、彩葉に見せるつもりなんてなかった。
でも、あの瞬間、はっきり自覚した。
律と彩葉が並んで話しているのを見たとき。
笑っている彩葉をあいつが見つめていたとき。
取られる、なんて言葉が頭をよぎって。
胸の奥に、理由の分からない苛立ちが湧いた理由。
全部、今ならわかる。
俺、彩葉のこと……
そこまで考えて、言語化するのが怖くなった。
はっきり認めたらもう戻れなくなる気がして。
腕の中の熱を確かめるみたいに、そっと彩葉の髪に触れる。
…………いや、どうすんだよ
こんなの隠し通せる自信ない。
そもそも誰かを好きになったことなんてないからどうしたらいいのか分からない。
いっそ、開き直ってぶつかる?
正面から全部言ってしまう?
……でも
彩葉は、護衛の任務があるから俺のそばにいるだけだ。
それ以上でも、それ以下でもない。
そんな状況で、俺の感情をぶつけたら…
困らせるに決まってる。
………さっきのことは、ひとまず、なかったことにしよう。
そのほうが彩葉も楽だろうし。
俺も……まだ気持ちに整理がついてない。
さっきのことは全部、
酔ってたせい。事故みたいなものだ。
そう、自分に言い聞かせた。

