「蓮、そろそろ彩葉ちゃん困ってる」
「困ってねーだろ」
「困ってます!!」
こっちは心臓が悲鳴あげてるんですよ!!!!
それでも蓮は不満そうに眉を寄せて、私の腰にまわした腕をぎゅっと強くする。
「ほら見ろ。……蓮、1回酔い覚ましてこい。」
「……は?やだ」
やだ、って……。
反射で胸がきゅん、と跳ねた自分が悔しい。
絢斗さんに目配せされ、私は強引に立ち上がる。
すると蓮も渋々立ち上がった──けど。
私の手首は、相変わらずしっかり掴んだまま。
絢斗さんはそんな様子を見て苦笑しつつ、空いている隣室へと案内してくれた。
ソファへ座ると、蓮も隣に腰を下ろした。
そのとき──。
「絢斗さん!すみません、ちょっと……!」
若い黒服の男が早足で入ってきた。
その表情からは、只事ではない様子。
「…何があった」
「さっき外に出てた班から連絡があって……どうも“例の件”が動いたかもしれないって」
それを聞いた絢斗さんの目つきが一瞬で鋭くなる。
いつもの穏やかな顔じゃなく、“神楽組”の顔。
「……わかった。すぐ行く。」
そう答えて、絢斗さんはこちらを振り返る。
「彩葉ちゃん、蓮頼める?」
「え、わたしが……?!」
わ、わたしを……今この状態の蓮と二人きりにするんですか……!??
「ごめん!すぐ戻るから」
ぱたん、と扉が閉まった。

