そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~




次々に皿が積まれていく光景に、私は思わず声を漏らした。


「す、すごい……」

「母さんの飯、マジでうまいから」


蓮は当然みたいな顔で箸を取り、私の皿にも唐揚げや煮物をぽんぽん盛ってくれる。

はい、と渡されてひと口食べた瞬間、思わず目が見開いた。


「美味しい……!!」


素直に声が出てしまう。

味がしみてて、あたたかくて、ほっとする味。


「だろ?」


蓮も嬉しそうに笑っていて、その表情を見た瞬間、胸の奥がじんわり温かくなった。

そこへ、にやっと笑った組の人が私の前にグラスを置いた。


「はい、彩葉ちゃんも飲みな〜」

「あ、えっ」


こ、これ……見た目が完全にお酒では……!


困惑したその瞬間。
蓮が無言のまま横からそのグラスをさらい取って、代わりに麦茶をストンと置いた。


「……酒はダメ。こっち飲んどけ」


自然にやさしくて、こういうの…飲み会で女の子が落ちる気持ち……少し分かってしまう。


「うわ〜〜、彼氏みたいなことやってんな!」
「オイ言うなって、空気読め!」


「か、かれっ──!?」


顔が一瞬で熱くなる。
けど、蓮は彼らに鋭い目を向けて、ひとこと。


「……黙れ」


その声に、全員ピシッと姿勢を正した。


「はい!!!」


でも表情だけはにやにやしている。
完全にからかって楽しんでるのが分かる。

なのに、なんだろう……あったかい。


蓮は学校では周りから距離を置かれているのに、ここでは“輪の中”にいて、誰かにいじられて。

……そんな蓮を見るのは、少し新鮮だった。