そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~




車に乗り込んで、流れていく景色をなんとなく眺めていたら、いつの間にかまぶたがじんわり重くなってきていた。

気を抜いた瞬間、ふわりと意識が沈む。


「……眠いのか?」


隣から落ち着いた声が落ちてくる。


「ん、ちょっとだけ…」


言った途端、車がカーブに入ってぐらりと揺れた。
身体が支えを失って、ふらっと傾く。

——やばっ。

と焦った一瞬より先に、


ぐい、と肩をつかまれて、あっという間に蓮の方へ引き寄せられた。


「っ……!?」


気づいたら、蓮の肩に私の頭がすとん、と乗っていた。


「肩貸してやるから。眠いなら寝てろ」


体温が伝わってきて、変に落ち着かなくなる。


「あと、これももう取っていいだろ」


そう言って、蓮は当たり前みたいな顔で私のウィッグに手を伸ばした。

ぱさ、と軽い音がして、視界がさらに明るくなる。


「ちょ…」


急に取らないでよ!と、文句を言おうとしたけど、すぐ側にある蓮の視線とぶつかった瞬間、また心臓が跳ねて何も言えなくなった。

揺れる車内で、静かに肩を貸されたまま──眠気なんてどこかに吹き飛んでしまった。