そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~





「一番は、彩葉にもう一度会いたかったから」


「……っ」



…ふ、不意打ち、やめてほしい。

さっきあんなこと言われた後だから変に意識してしまう。


でも、隣に蓮もいるので平常心を保ちつつ私は慌てて視線をそらし、軽く笑って誤魔化した。



「またそういうこと言って……」



律は楽しそうにニコニコしてるし、蓮は蓮で、何も言わずに無言の圧だけ放ってくるし……。

行き場のない視線を遠くに向けると、車から降りる絢斗さんの姿が目に入った。


「……あ。絢斗さん待たせてるんだった。ちょっと声かけてくるね!」


ついでにこの気まずい状況から逃れようと、私はひと足先に立ち上がった。

車の方へ駆け出し、絢斗さんに今あったことを軽く説明する。


「後ろをつけられてた…か。」

「私が護衛に来る前もこういう事よくあったんですか?」

「…そうだな。神楽組をよく思ってない奴らとか…単純に、蓮のことが気に入らなくて狙う奴らもいるし、人質にしようとするやつもいる」


ヤクザの当主の息子ってのも大変なんだな……。


いくら蓮が強くても、それが日常茶飯事なら護衛をつけたくなるのも納得する。


少し絢斗さんと話していると、遅れて蓮も歩いてきた。

後ろに律の姿がないことに気づく。


「あれ、律は?」

「あいつなら帰った。用事があるとか言って」

「そうなんだ」


蓮は何か言いたげに、こちらを見た。


「どうかした? ……もしかして、律に何か言われた?」

「……いや。なんでもねぇ」


そっぽを向くようにして言う声は何かを誤魔化すようで。


絶対なんかあったじゃん……。


でも、蓮が言いたくないなら無理には聞かない方がいいのかな。

そんなふうに思って、私はただ小さく息をついた。