その空気を静かに見つめていた律は、ふらっと近くの花壇の縁軽く埃を払って腰を下ろした。
そして落ち着いたトーンで話し始める。
「……そうだ。二人に話しておきたいことがあって」
こっち来なよ、と自分の隣をトントンと叩いて呼ぶ律に、なんとなく引き寄せられるように同じ花壇の縁に腰を下ろした。
律は視線をゆっくり巡らせてから口を開く。
「…最近、このあたりで“正体の掴めない影”が複数目撃されてるらしいんだよね」
「正体の掴めない影?」
思わず聞き返すと、律は静かに頷いた。
「ここ最近、蓮くんも誰かに狙われる件数が増えてるでしょ。……神楽組にも、君にも関係してる可能性があるって分析が出てる。だから俺は、 Aegisの任務でここに来た」
蓮にも、私にも関係してる可能性がある…?って、どういうことだろう。
蓮も怪訝そうな表情で、黙って律の話を聞いている。
「彩葉は蓮の専属護衛として依頼されてるけど、逆に俺は、この地域全体を見て怪しい影を一つずつ潰していく。」
確かに、私は蓮を守ることが第一だから、怪しい影がと言われてもあまり派手には動けない。
律の担当は、もっと広い範囲。
…… Aegisで2人で担当した頃の任務でも、よく役割分担してたな。
「動くなら二人の近くが一番効率がいいから、ついでに転校手続きもしてもらった。何かあればすぐ対応できるし、情報も拾いやすいからね」
何か怪しい動きが周りに増えているというなら、律がそばにいるのは──正直、すごく心強い。
そんな私の反応を見透かしたみたいに、律はふっと表情を和らげた。
「……まー理由はそれだけじゃないけど」
律はそう言うと、軽く身を乗り出して私の頭をポン、と軽く叩く。

