その刹那、フードの男がナイフを抜いた。
夕陽を反射する刃がきらりと光る。
男が踏み込んだと思った時には、反射的に私はもう前に出ていた。
一歩で間合いを詰め、男の手首に指先をトン、と触れさせる。
カラン──と軽い音が響き、ナイフが地面に落ちた。
「……つけ回すなら、もっと上手くやりなよ」
腕を取り、抑え込みに入ろうとしたその時。
男が悪あがきのようにポケットへ手を突っ込み──カッターナイフを引き抜いた。
…っ!?
刃が光った一瞬身体がわずかにすくんで、ほんの一瞬反応が遅れた。
その隙を狙うように、男が背後へ回り込んでくる。
でも、すぐに鈍い音が響く。
振り向けば、蓮の足が、鋭く男の腕を蹴り上げていた。
「おい、てめぇの狙いは俺だろうが」
怒りを含んだ声と鋭い睨みに、男が一瞬たじろぐ。
それでも敵はしぶとく、すばしっこい動きで距離を取ると反転して路地の曲がり角まで走り出した。
──けれど。
そこには、もう一つの影があった。
音もなく背後に立ち、伸びた腕が男を完全に封じ、短いうめき声が漏れる。

