そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~






──放課後。



いつも送り迎えをしてくれる絢斗さんの車は、目立たないように少し離れた場所で待ってくれている。

校門を出て蓮と並んで歩いていたけど…門を出てからずっと、私は背中に視線を感じていた。



……一定の距離を保って、誰かがついてきてる。


姿を見せないところがますます怪しい。



気づいてしまったからには流石に見過ごせないので、ぴたりと足を止めてゆっくりと振り返った。



「……そこ。もう出てきたら?」


このままついてこられても厄介だし、何かあってからでは遅い。


「彩葉?」


私が遠くへ声をかけると、隣の蓮が怪訝そうにこちらを見た。

角の向こうに気配はあるのに、相手は中々姿を見せない。


私は小さく息を吸って、蓮の袖を引いた。


「蓮、少し下がって」


小声で囁いて庇うように一歩前へ出ると、蓮は不思議そうに眉をひそめる。


その瞬間。


物陰から黒いフードの男がゆっくりと現れた。

無言のまま、まっすぐこちらへ歩いてくる。


…やっぱり、狙いは蓮だよね。


蓮もすぐに悟ったらしく、目つきが一瞬で鋭くなる。


「……彩葉。あの時は確かに助けられたけど、俺は“守られる前提”のつもりはないからな」


そう言って私の横に並び立つ蓮。

迷いのない足取りと、真っすぐな横顔。


「護衛を許しただけで、全部任せるつもりはねぇよ」


…まあ、黙って守られてくれないのは初めから分かってたけど。