ここで待っててと言われたからしばらく近くのベンチで待っていると、両手に缶ジュースを手にした律が戻ってきた。
当たり前のように、その一つを私に差し出す。
「彩葉、これ好きだったよね?」
……いちごミルク。
そういえば、任務の時もよく飲んでたっけ
…そんなことまで覚えててくれたんだ。
「あ、うん。ありがと…」
受け取ると、律がじっとこちらを見る。
その視線に気づいて思わず背筋が伸びた。
「それで……蓮くんと、ずいぶん仲良さそうだったけど」
思いもよらない言葉に、心臓が跳ねる。
な、なんでそう言う話になるの?!
「べつに、蓮とは何も──」
「珍しいじゃん、呼び捨てまでして。あの様子じゃ、彩葉が女だってこともバレてるんでしょ?」
…律はいつも核心をついてくる。
任務で私が敬語とさん付けを“線引き”にしていることも、律は知っている。
「彩葉が誰と仲良くするのも構わないけどさ……まさか“そういうの”じゃないよね?」
「変なこと言わないでよ。蓮は護衛対象で、それ以上でもそれ以下でもない」
口ではそう言ったけど、心の奥ではもう、ただの護衛対象としての距離感じゃないことを自覚していた。
目を合わせられず、視線は右へ左へと泳いでしまう。
律はそんな私を見て、ふっと笑った。
「……ほんと、分かりやす」
「え…?」
「本当に何もないときは、ちゃんと俺の目を見て否定するでしょ。でも今みたいに動揺してる時は……絶対に視線が泳ぐ。」
律には、嘘をつけたことが一度もない。
いつだって簡単に見抜かれてしまう。

