そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~




「なに、照れてる?」

「困ってんの!!」



振りほどこうとしても、律の腕は意外と強い。

仕方なくそのまま振り返ると、
昔と変わらない柔らかな目がすぐそこにあった。


「…というか律、今20歳だよね?年齢偽装じゃん。なんで高校生のフリなんかしてんの?」

「しーっ。彩葉だって性別偽装してるでしょ」


そ、それは……そう言われたら返せないんだけど……


そのとき——。



「……彩葉?」



後ろから、蓮の声。

律が私の後ろに視線を向け、興味深そうに目を細めた。



「ああ。もしかして——君が“例の”護衛対象?」

「……何で知って…」



蓮は息を呑むのと同時に無言のまま歩み寄り、私の腕を律の手から引き剥がした。

そして、そのまま肩を抱き寄せられる。



「…悪いけど、彩葉は俺のなので。ベタベタしないでもらえますか?」

「れ、蓮っ……!?」

「……へぇ」



律も蓮も、口元は笑っているはずなのに目が笑ってない。

い、いきなりなんなのもう…!


「仲いいんだね。……驚いた」

「律。蓮にはもう──」


私が女だってことバレてるって言おうとしたけど、遮るように律が言葉を続ける。



「でもただの“護衛”でしょ。……別に俺が近づいても問題ないよね?」



機嫌悪そうな2人の間にいる私はもう落ち着かない。

な、なんでこんなピリピリしてるの……


蓮は律の言葉に反応せず、私の腕をぐっと掴んで歩き出す。


「彩葉、行こう」

「え」


その手は、いつもよりずっと強かった。


……蓮、なんか怒ってる?

律も……変だし……。