そのとき。
隣に立つ蓮が、そっと私の手を握り直す。
「ねえ、蓮」
名前を呼ぶと、蓮はすぐにこちらを見た。
強くて、不器用で、強引で、でも優しくて。
私の大好きな人。
この人とならきっと、穏やかな日も、どうしようもない日も、全部生きていける。
もう戦わなくていい。
もう、一人じゃない。
「私を連れ出してくれて、ありがとう」
普通の女の子にしてくれて、ありがとう。
ただの「彩葉」として、生きる場所をくれてありがとう。
「これから先も…よろしくお願いします」
少しだけ照れた私に、蓮は困ったように笑ってから迷いなく言った。
「言われなくても。一生、離すつもりねーから。」
その言葉に、私は静かに息を吸って笑った。
「愛してる。彩葉」
ブーケトスの歓声がまだ少しだけ遠くに残っているなか静かに落とされたキスは、今までで一番優しかった。
この人と一緒に歩いていくこれからの時間が、
私たちの、物語の続き。
胸に広がるあたたかさを抱きしめながら、私はそっと目を閉じた。

