「……綺麗だ。」
「ちょ、ちょっと……蓮」
すぐそこに子供たちがいるのを思い出して、慌てて言うけど。
「今さらだろ」
くすっと笑う声。
全然、止まる気配がない。
蓮は全然気にしていない様子で、私の頬に顔を寄せる。
「何年待ったと思ってんだよ」
鏡越しに合う視線が、あまりにも真っ直ぐで。
胸の奥が、ぎゅっと締めつけられる。
私と蓮、籍は入れたけど、式は上げていなかった。
お互いに清算しなければならないものが多すぎて、それどころじゃなかった、というのが正直なところ。
でも子供が生まれて、生活が落ち着いて。
神楽組のほうも、ようやく一区切りがついた。
後継には、絢斗さんが指名されたと聞いた。
昔からずっと蓮のそばにいて誰よりも組のために動いてきた人だからこそ、みんな納得していたらしい。
ちなみに蓮は、元々成績トップクラスなだけあって頭も切れる。
裏社会の出身だという過去を持ちながらも、今はちゃんとした大企業で働いて確かな成果を残している。
そして私は専業主婦として、子供たちと蓮を支える日々。
こんな当たり前みたいに幸せな生活。
──昔の私は想像すらしていなかったのに。

