そのキス、契約違反です。



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支度を終えて、子供達と一緒に式場へ来た。

 

慣れないヒールの感触を確かめながら控え室に入ると、そこには大きな鏡があって。

控え室の大きな鏡に映る自分を見て、ほんの一瞬息を呑む。


真っ白なドレス。

ふわりと広がるスカートと、胸元を飾る繊細なレース。

肩から背中にかけてのラインまでどこまでも柔らかくて、優しい色。


——あの時の、真っ黒なドレスとは真反対。


明るくて、キラキラしている、女の子なら誰もが憧れるウェディングドレス。



「ママ、おひめさまみたい〜!かわいい!!」



隣で、結が目をきらきらさせて言う。

その言葉に、胸の奥がじん、と温かくなる。



「ふふ、ありがとう」



そう返しながらも、心臓がうるさくて仕方なかった。

だって。



「…………」



鏡越しに、後ろに立つ蓮の姿が見えたから。


真っ白なスーツに身を包んだ蓮。

仕事を終えてそのまま駆けつけてきたのか、ほんの少し息を切らしている。


ゆっくりと近づいてきて私の腰に手を添える。

後ろからぎゅっと抱き寄せられて、耳元で囁かれた。