そのキス、契約違反です。

 



「パパ、いってらっしゃい〜!」

「はやくかえってきてね」

 

結と蒼の声に、蓮は振り返って柔らかく笑った。

 

「……2人とも、ママを困らせるなよ?」

「「はぁ〜〜い!」」

「ふっ…返事だけは元気なんだよな。」



くすっと笑って、蓮はもう一度こちらを見た。



「じゃ、行ってきます」



ぱたん、とドアが閉まる音。

私はふっと息を吐いて、胸に手を当てた。



「……よし」



小さく呟いて、子供たちの方を振り返る。



「さ、結。蒼。私たちも準備しよっか」



笑顔で頷く二人を見て、胸がいっぱいになる。


結は5歳、蒼は3歳。
気づけばこんなに月日が経っていた。



戦うことも、怯えることもない毎日。



私は、この人生を選んでよかった。

今日はきっと、心の底からそう思える日だ。