そのキス、契約違反です。





「なにその顔」



思わず苦笑する私に、蓮はさらに眉をひそめる。



「朝一番は俺だろ」

「子供に対抗心燃やさないで」



なんて笑っていると、しがみついたままの蒼が誇らしげに顔を上げた。

 

「おれままとけっこんするからいいの〜」

 

追い討ちのように言う蒼に、蓮の表情があからさまに険しくなる。



「……彩葉は俺のだからダメ」



ぼそっと零されたその一言は真剣すぎて、逆に可笑しくて。


吹き出しそうになるのを必死で堪えていると、

蓮は納得いかない顔のままネクタイをきゅっと締め直し、そのまま私の背中から腕を回して抱きついてきた。


蒼を挟んで、三人でぎゅうぎゅう。



「パパこわい」



蒼が小さく言うと、蓮がぴくっと肩を揺らす。



「……怖くねぇ」

「顔がこわい」



的確な指摘に、私はもう笑いを堪えきれなかった。