そのキス、契約違反です。




「ここ、病室だからね…!?」



焦って言うと、蓮は口元を緩めた。



「それもそうだな。」



そう言いながらも私の腰に手を回したままさらに引き寄せる。


いや絶対、そうだなとか思ってないでしょ…!



「…じゃあ病院じゃなきゃ良い?」

「よ、よくない!!」



私の心臓が、よくないです!!!



「そんな顔で言われても説得力ねーよ」



楽しそうに笑う蓮。


……あと、近いってば…!



「ま、でももう焦る必要もなくなったし…まだ我慢する」



その言葉に少しだけ安心して、でも同時に、妙に惜しい気持ちになる自分がいて。


ほんと、こんなの、上書きどころじゃない。


触れられるたび、囁かれるたび、見つめられるたび。

全部、塗り替えられていく。


怖かった記憶も、不安も、曖昧だった自分の居場所も。

胸の奥まで、蓮の色で。