蓮に“護衛”のことがバレてしまってから、男装の必要はなくなった。
…でも、学校には男子として登録されているし、クラスメイトの認識も同じ。
今さら「実は女子です」なんて言えるはずがなく。
私は今日もウィッグを被り、男子の制服で歩いている。
それに……蓮の隣に並ぶなら、男子の姿のほうが都合がいい。
王子様扱いされる彼の隣に女の子が立つのは悪目立ちしそうだから。
教室に入ると、どこかいつもよりざわざわしている様子だった。
「今日転校生来るらしいよ!」
「え、また?珍しい」
転校生……?
何故かわからないけど、胸が少しざわついた。
「外で見かけた!めちゃイケメンだった……!」
「え〜!楽しみ!」
騒がしい教室の中、蓮はいつもの柔らかい笑顔で返事をしながら席に着く。
私もその隣の自分の席へ座ると、すぐに担任の先生の声が響いた。
「はーい席つけー。静かにしろ〜。転校生を紹介するぞー」
ざわつきが一気に静まり、みんなの視線がドアへ吸い寄せられる。
入ってきた男子生徒の姿を見た瞬間、
私の呼吸は止まった。
え…………?
見慣れた明るい茶色の髪、揺れる金のピアス。
大人びた余裕をまとった、あの横顔。
「今日から転校してきました。榛名 律です。よろしくお願いします」
にこっと柔らかな笑みを向けた途端、教室がざわめきに包まれる。
けれど私はひとり、呆然と固まっていた。
榛名律——私の、元相棒。
な……何で律がここに……?
律も私と同じ、 Aegisの所属。
四年前、“ある任務”で私を庇って律は大怪我をした。
その後すぐ私は別任務に招集されて、療養を終えた律は海外任務に呼ばれて…。
今まで2人で任務に呼ばれる事も多かったのに、この任務の後からはバラバラで。
それきり会うことはなかった。
「席は…あそこな」
担任が指差したのは、よりにもよって
——私のすぐ後ろ。
……後ろの席……!?

