そして、これは後から聞いた話なんだけど──。
私がお風呂に入っていたあのとき、神楽組の人が入り口の前を通りかかって札を倒してしまったらしい。
それで、どっちが表か分からなくなってとりあえず立てかけたと。
札の意味、なさすぎる。
だから蓮に私が女だってことはバレてしまったけど、ひとまず護衛としてそのままそばにいていいと言われたことは、創さんと梓さんに報告した。
2人とも目を大きく見開いて、「あの蓮がそんなこと言うなんて…」と、思わず声が出てしまうくらい驚いてたけど。
でも、私が男装を頼まれていた理由は、蓮に拒絶されないようにする為と…実は、もう一つある。
“「男装を頼んだ時にも少し話したと思うが、女としてそばにいるなら尚更だ。恋愛関係にはなるなよ」”
創さんのこの言葉。
理由は何となく分かっている。
もし私と蓮が恋愛関係になってしまったら、蓮は無茶をしてでも守ろうとするだろう。
それでは本来の護衛の意味がなくなってしまうから。
私も、立場上そういう関係の人がいると弱みになるからできれば作りたくないし、護衛対象を好きになるなんてありえないと思っていた。
それに、正直なところ蓮が私を受け入れてくれるなんて思っていなかったから、特に心配もしていなかった。
……のに。
蓮は簡単に私の心を揺さぶってきて、護衛としての自分の立場が時々わからなくなる。
この胸のモヤモヤは、一体なんだろう。

