そのキス、契約違反です。




「生きてて……よかった…」



ひとまず、生存は確認できた。

それだけで少しだけ救われた気持ちになる。


でも安心するには早すぎる。

今はまだ、この扉を開ける術も、鍵の所在も分からない。


私はぐっと気持ちを引き締めて、できるだけ静かな声で問いかけた。



「教えて欲しいの。さっき、男の人……捕まらなかった?」



一人が、ゆっくり首を縦に振った。



「奥の部屋に連れて行かれた。…多分」



視線の先。

牢のさらに奥、通路の突き当たりにあるひときわ重たそうな扉。



「……私が全部、終わらせるから。」



それだけ言って、奥の扉へ向かった。



手が震えている。



……もし。

もし、最悪の想像通りだったら?



頭をよぎる不安を振り払うように、私は一度深く息を吸った。

覚悟を決めて、扉に手をかける。


かすかに——薬品の匂いが漂っている。