そのキス、契約違反です。




「……誰に捕まったんですか?」

「分からない。…でも、毒ガスと針を使ってた。完全にプロの手口だと思う」



最悪の事態が頭の中を過って、血の気が引いていく。


佐伯さんが、私の腕を掴んだ。



「待って。今、増援を呼ぶ。ここは一人で行く場所じゃない」



……分かってる。

分かってるよ。



一人で突っ込むなんて、無謀だ。


っ…でも。



「……蓮の身が、危ないんでしょ」



私、こんなに判断力鈍かったかな。


何の策も無しに、感情に振り回されて、飛び込もうだなんて。


佐伯さんの目が、揺れる。



「それでもだ。下手に動けば——」

「待ってられない…!今この瞬間も、何をされてるか分からない」



さっき。

“全部終わったら、話す時間を作る”って言った。