そのキス、契約違反です。




肺に吸い込んだ瞬間、空気が甘く歪む。

視界がわずかに揺れた。



「蓮くん!」



……くそ。

意識が、急速に遠のいていく。



「……碧、…っ逃げろ!!」



振り返って叫ぶより早く、視界が滲み始める。



「地下に、戻るな……!ここの状況…外の奴らに、伝えろ!」



それだけ伝えて前に出た。



護衛なんて、俺が守る立場じゃないのに。

それでも身体が勝手に動いた。



毒ガス、か…。



「お前!ここで何している!!」



体に力が入らなくなってきたところで、誰かの怒鳴り声。


背後から腕を掴まれ、床に押し倒される。


そして仮面が外される感覚。



「………こいつ、神楽の…!!」



……俺の素性がバレた。

というか、知られている…?



………あとは、碧に託すしかない。

誰かにここの状況をつたえてくれ。


それだけを強く願ったところで、意識が闇に沈んだ。