そのキス、契約違反です。




「…え、………というか、何で蓮がここにいること…」

「俺が助言したんだよ。…あいつ、ここまでして彩葉に会いにきたんだ」



さっき、ホールで見かけた。

まさか本当に潜り込んでくるとは思わなかったけど。



……それくらい、必死だったんだろう。


彩葉のこと。



「これは……自分でなんとかするから」



彩葉が、何か言おうとする前に続けた。



彩葉(アイリス)、行って。守りたいんでしょ」



迷わせないために、はっきり言った。


でも案の定、彩葉は俯いてしまう。



——罪悪感。


自分のせいで、俺がこうなったと思ってる顔だ。

……違うのに。



そうこうしてる間にも体の奥が、じわじわと熱を主張してくる。


それでも、平然を装って続ける。



「早く、行って」



正直に言えば——


近くにいられる方が、ずっとしんどい。



この部屋に彩葉の気配があるだけで、理性が削られていくのが分かる。



それに、彩葉の大事なものは俺にとっても大事なんだよ。

彩葉に笑顔でいて欲しい。



だから、必ず蓮くんを守って。