振り向くとそこにいたのは——
黒髪のロングヘア。
華奢な体つき。
仮面越しでも分かる、中性的な顔立ち。
私よりも、多分少し年上。
そう、この人だよ。
…蓮の隣にいた、女の人。
その人は、私の方を見て、にこっと笑った。
「初めまして、佐伯 碧です。蓮くんの新しい護衛だよ」
柔らかく弾む声と一緒に差し出された手。
その瞬間、胸の奥がちくりと痛んだ。
……新しい、護衛。
言葉としては理解できるはずなのに、頭より先に心が反応してしまう。
私はなんとか表情を崩さないようにして仮面の下でぎこちなく笑い、差し出された手を握り返した。
でも、次の瞬間。
「……って言っても、たぶん君、俺のこと女だと思ってるよね?」
いきなり低く、はっきりした“男の声”が落ちてくる。
「……え」
思考が、完全に止まる。
握ったままだった手を離すことも忘れて、私はその場で固まった。
今、なんて言った……?

