そのキス、契約違反です。





「あれはっ…、一番その場を誤魔化せる方法だったの!彼氏とかじゃないから…!」



これ、相手が律だって知ったら、余計にややこしいことになる…。



「……ふうん」



そして納得してなそうな返事。

…でも、蓮だって人のこと言えないでしょ。



「じゃあ聞くけど」



私は、思いきって視線を上げた。



「蓮こそ。彼女、できたんでしょ」



睨むみたいに言うと、蓮の眉がぴくりと動く。



「……は?」



本気で覚えがない、みたいな顔。



「黒髪ロングの人と、楽しそうに、笑ってた」



……自分で言っておいて、なんでこんなに苦しいんだろ。

蓮は一瞬呆然とした顔をしてから、小さく息を吐いた。



「……違う」

「でも——」

「彼女じゃない」



きっぱりと言い切られて、言葉に詰まる。

その、直後。



「蓮くん?」



少し高めの、柔らかい声が割り込んだ。