そのキス、契約違反です。




「今は、一緒にはいられない」



腕が少しだけ緩んで、蓮は私の顔を覗き込んだ。

仮面越しでも分かるほど、真剣な目。



「………………彼氏が、できたから?」



………?

一瞬、理解が追いつかなかった。



「……え?彼氏なんていないけど…何の話?」



本気で何を言っているのかわからず問い返すと、蓮はむっとしながら続ける。



「さっき、男とキスしてた」



心臓が、跳ね上がった。

えっ……さっきって、あれ?


律と、誤魔化すためにした、あの……?!


というか。



「……見てたの?!」

「窓越しに、たまたま」



なんてタイミングで…!

外のデッキが見える窓際の部屋だったこと、完全に頭から抜けてた…。


——それに、ちがう。

ちがう、ちがう。


あれはしたくてしたものではなく、敵の目を欺くためのやつ!!