そのキス、契約違反です。




しびれを切らしたのか、強引に私の腕を引いて振り向かせた。



視線を逸らしても、仮面越しでも、

私を見ているのが分かる。



……蓮。


これ以上「人違い」で通る雰囲気じゃない。


一歩距離を詰められて、背中が壁に触れた。



「俺、本気で拒絶されない限り引かねぇから」



逃げ場が、なくなる。

私がそんなことできないってわかってるくせに。



「……俺さ」



蓮が、少しだけ視線を伏せる。

さっきまでの鋭さは消えていて、代わりに押し殺したような声で。



「彩葉がいなくなってから、ずっと考えてた。何が悪かったのかとか…何を言えば、引き止められたのかとか」



……そんなふうに。

私のこと、考えてくれてたの……?


胸の奥がじわっと熱くなる。


思い出したくなかった気持ちまで、全部引きずり出されて。



「だから」