そのキス、契約違反です。





手に入れた情報のバックアップを Aegis(イージス)に送信し終え、私は小さく息を吐いた。

ひとまず成果はあった。


この船で行われている闇オークションの実態。

裏で動いている組織の名前。


確実に“核心”には近づいている。



残る問題は、このオークションをどう潰すか。

そして、行方不明になっている仲間たちをどうやって見つけ出すか。



どちらも簡単じゃない。

むしろ、ここからが本番だ。



「そういえば、さっき何を見たの?」



隣で端末をしまっていた律に、ふと問いかけた。



「さっき?」

「パソコンで、何か見つけたみたいだったから…」

「あー……」



律は一瞬だけ言葉に詰まった。

私の表情を読み取るみたいに、少しだけ視線を逸らす。


どこか言いづらそうな間。

その沈黙が、逆に答えを予感させた。



「………おそらくだけど。」



律は声を落とし、周囲に誰もいないことを確認してから続けた。



「黒蛇会のバックには Nocturne(ノクターン)がついてる」

「……え…」



じゃあ、つまり。


この任務を最後までやりきるってことは


Nocturne(ノクターン)と、真正面から向き合うってこと。