「……っ、失礼。」
慌てた声でドアが閉まり、足音が遠ざかっていく。
完全に気配が消えたのを確認してから、律はようやく体を離した。
「……ふぅ」
軽く息を吐くその顔は、もういつもの律だった。
一方で私は。
「…………っ」
ワンテンポ遅れて、一気に現実に引き戻される。
「ちょ、ちょっと……いきなりすぎ……!びっくりしたじゃん…」
律は一瞬きょとんとしてから、すぐにくしゃっと笑った。
「ごめんごめん。一番手っ取り早いと思って。4年前もこの手段使ったでしょ」
「それは、そうだけど………」
4年前と今じゃお互い状況違いすぎるから…!
別に初めてしたわけでもないし任務で演技だと割り切ればそれまでなんだけど、不意打ちは、心臓に悪い。
というか。
兄妹設定、どこ行ったの……!?
小さく息を吐いて、私は気持ちを切り替えるために深呼吸をひとつ。
だから気づかなかった。
この部屋の窓の外で、誰かが立ち止まっていたことに。

