そのキス、契約違反です。





「もう行ってしまうのか、残念だ。でも夜は長いからね。また会えたらいいな」

「はい!またどこかで〜」



そのままホールを抜け、人の気配が薄い廊下へ出たところでようやく足を止めた。



「黒蛇会か……これはかなり厄介かもね」



律が小声で呟く。

黒蛇会は、クリーンではない方の組織。

まあ、こんなオークションに関わってる時点でそれはそうなんだけど。



「ってかあのジジイ、 彩葉(アイリス)のこと絶対変な目で見てたでしょ。無理なんだけど。吐き気した」

「………だってあれが一番手っ取り早いし…」



こういうやり方も、別に今に始まった事ではない。

そのたびに律に文句言われてきたけど。



「はぁ……。ほんとに今日やばい奴しかいないと思うから気をつけてね?いくら強くても、女の子なんだから」

「う、うん…」



真剣な目で見つめられて、思わず逸らしてしまった。

仮面の内側で、私は小さく息を吸った。