「ただ…後悔する買い物は、したくなくて」
そのタイミングで、律が私の腰にそっと手を添えた。
「うちの妹、見る目が厳しいんです。」
……やっぱり、警戒されてる。
まあ、知らない顔がいきなり話しかけてきたら当然だ。
私は少し困ったように眉を下げて、声のトーンを落とした。
「お兄さん、大人っぽくてカッコよかったからつい声かけちゃったんですけどぉ……やっぱり、いきなり知らない人に話せることじゃないですよね……」
精一杯のぶりっ子演技。
これでどうかな。
男は一瞬考えるようにしてから、低く笑った。
「——“純度”ですよ」
「純度?」
「今夜の目玉は、どれも“扱いが難しい”。壊れやすくて、価値が高い」
このオークションの商品は、“物”だけではない。
それを、ここにいる人間たちは、当たり前みたいに口にする。
「へぇ…すごいですね。」
私は、わざと感心したように息を吐く。

