そのキス、契約違反です。




……こういう年齢層の男には、結局これが一番早い。


だから、こういう場面では私が前に出る。


律には何かあったときのために周囲を見てもらう。

役割分担は、昔から変わらない。



「おや……これは、随分とお綺麗な。初めましてだね?」

「初めまして」



男の視線が、私から律へ、そして再び私へと戻る。



「そちらの男性は?」

「兄です。妹が少し聞きたいことがあるみたいで」



律が肩をすくめるように笑う。

…今回は兄弟設定でいくつもりなのね。


男は小さく笑って、グラスを掲げた。



「なるほど。…それで、今夜は“何”をお探しで?」



私は、少し首を傾げる。

上目遣いになるように視線を送った。



「噂を、耳にしたんです」

「噂?」

「ええ。最近、随分と“面白い品”が集まるって。」



男の目が、わずかに細くなる。