そのキス、契約違反です。




「それにね。」



仮面を見つめたまま、静かに言った。



「今日の私は桜庭彩葉じゃなくて、

Aegis(イージス)所属の 彩葉(アイリス)だから。」



仮面をつけた瞬間、視界が少し狭くなって、

その代わりに余計なものが削ぎ落とされる。



「よろしくね。(ソル)



私は、静かに顔を上げた。


律が一瞬だけ目を細めて、すぐに、にこっと笑う。



「…勿論。この任務、2人で成功させよ」



差し出された腕に、私は迷いなく腕を絡めた。



会場となるクルーズ船へ続く橋は、地上と海を繋ぐ細い一本道だった。

足元には暗い水面が広がり、照明に照らされて鈍く揺れている。