そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~




「……っ…れん…!」


もう、本当に、無理。

心臓、とっくにキャパオーバーなんですけど……っ。


思わず距離を取ろうと、体を後ろに引こうとするけど。


すぐに、片手が腰に回されて逃がしてくれない。

そのままもう一度唇が重なる。

今度は、ゆっくり、確かめるみたいに。


花火の音は、確かに鳴っているのに。


聞こえてくるのは、お互いの荒くなった息遣いだけ。


まるで、世界の音が止まったみたいに。




でも、息継ぎの瞬間。


ふっと距離が離れた、その一瞬。



私の視界の向こう、蓮の背後に──気配を感じた。



考えるよりも早く、身体が動く。



「伏せて…っ!」



蓮の腕を引き、二人で縁側に倒れ込んだ瞬間、

乾いた音が夜を裂いた。


パン、と。

花火とは明らかに違う、耳障りな音。