その時。
——ドンッ。
夜空を打ち破るみたいな音がして、一瞬遅れて空が光に染まる。
最初の花火が上がった。
その衝撃が背中を押したみたいに。
私は蓮の服を掴んだまま、ゆっくり顔を上げた。
視界の端で、光が弾ける。
赤、青、金色。
夜の闇を塗り替えていくみたいに、鮮やかで。
綺麗…。
世界もこんなに綺麗だったらいいのに。
………ねえ、蓮。
喉までせり上がってきた言葉を、もう、引っ込められなくて。
「…………好き」
声、ちゃんと出たかな。
花火の音に紛れて、消えてしまえばいいのに。
「……え?」
なんて、ベタなことしてんだろ私。
花火の音で誤魔化そうだなんて。
でも、蓮は私をじっと見つめている。
もしかして、聞こえてた…?
「悪い、花火でよく聞こえなかった」
………そのまま誤魔化せば良かったのに。
そのまま、ぎゅっと服を掴む力が強くなる。

